お笑い演劇ユニット『ダウ90000』が面白い。
もともとは、日大芸術学部の演劇サークルが母体となっていて、その中の一人、蓮見翔がメンバーの中で就職する気のない人間を募ったところから始まります。男性四人女性四人の構成ですが、それぞれに際立った個性はなく、いたってフツーの若者ってとこが、お笑い界では異色でした。誰一人として目立とうとせず、グイグイ行かない醒めた感じが、いかにも今っぽいのは、そもそも大半が芸人志向でなく、就職したくないのが動機ですから、そんな人たちが過去にいたハズありません。
そして、グループの戦略としては、演劇とお笑いの二面作戦で進めていくこととしました。
演劇の世界は、お客の高齢化が進行しているためマーケットが限られている。だから、彼らは笑いの賞レースにもガチンコで勝負しに行って、若いお客にアピールする。その上で、その若い人に向けた長尺のYouTubeでネタを流す。そして、自分たちの演劇ライブ観劇に引っ張って来るという仕掛けがバッチリ嵌りまったのです。チケットは、発売後の即完売が続いており、ネットでの動画配信までも順調だといいます。
なぜ、そんな展開を進めたかというと、リーダーの蓮見翔が直ぐに結果を出さなければ、メンバーが辞めちゃうと思ったからです。もともと、芸人志向じゃありませんからね。
もう一つ。彼らの会話劇の面白さは、若い世代へ向けての言葉のチョイスにあると言います。
お笑い界でトップを走る芸人は、四十歳前後より上の世代が多く、たとえ話で出されるのが、ドラゴンボールだとか90年代のJ-POPだとか、微妙に分かりづらいものがある。いや、なんとなく知ってはいるけど、ドンピシャじゃないので、若者は今ひとつ共感できずにおりました。
そこで、固有名詞にこだわったのです。人物やアニメ、商品名など、最新の流行りものを意識的に取り入れて、あるあるに繋げていく台詞回し。
いやはや、新しい。最初の意気込みだけで、バイトをしながら芸人を続けている人には、衝撃なんじゃないかな。
ネットでダウ90000を検索すると、YouTubeがボロボロ出て来ます。
その中で、「タイタニック」と「ピーク」が特におススメです。是非、ご覧あれ!