都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

ある男

自分の出自を変えることはできませんが、そのことで深刻に悩むってことも少なからずあるでしょう。

例えば、両親や祖父母が犯罪者である場合、あるいは日本国籍でない場合、職業によってもあまり言いたくないのがあるかもしれません。

だけど、それを消すことは簡単には出来ず、いろいろ悩んだりします。

そういうのをテーマとしている話題の映画『ある男』を観てまいりました。

夫と別れ、故郷の宮崎に帰ってきた里枝(安藤サクラ)は、口数の少ない若者・谷口大祐(窪田正孝)と再婚する。心に深い傷を負ったふたりは、ささやかな幸せに満足していたが、ある日、大祐が事故で亡くなってしまう。それから1年後。大祐の兄・恭一(眞島秀和)が、一周忌に姿を現す。しかし、仏壇に飾られた大祐の写真を見て、驚愕の事実が判明する。理枝の夫だった男は、「谷口大祐」ではなかった。本名も経歴もわからない、謎の男“X”だったのだ。里枝は“X”の正体を探るべく、前夫との離婚裁判を担当した弁護士・城戸(妻夫木聡)と連絡を取る。在日韓国人である城戸は“X”のゆくえを追っていくうちに、日本に蔓延る数々の社会問題と対峙していく、というストーリーでありました。

ある男ねぇ。

どこにでもいるってことを言いたいんでしょう。

いつの間にかの上から目線だったり、下から目線ってのも存在します。差別と偏見、劣等感と嫉妬。金持ちの子供だったとしても、兄弟間にコンプレックスがあったりします。う〜ん、比べちゃうとねぇ。極めている人ほど、劣等感を隠そうとします。自己開示は簡単じゃありません。

映画では、安藤サクラの演技が自然で際立っておりました。なんでしょうね、安藤サクラは、グレーとベージュをさりげなく着こなすので、日常の景色に溶け込んでいるように思います。地味が似合うこの感じ、樹木希林に通じるものがある。

いやぁ、面白かった。劇中の絵画、ルネ・マグリットの『複製禁止』も効果的に使われていたのが印象的でした。予算のない日本の映画が海外で闘うには、アイデンティティを問いかけるような、こういうメッセージ性の強いやつがいいんでしょうね、きっと。