都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

金環日蝕

オレオレ詐欺に引っかかる人は、どれだけ間抜けなんだろうと思っている人は多いと思います。

電話とはいえ、自分の子供や孫の声を間違えるなんてあり得ないんだけど、それは正常な判断力が前提でありまして、世の中には認知症状が進行しているにも拘らず、一人暮らしでいる高齢者がごまんといるのです。

認知症というのは不可逆的に緩やかに進んでいくので、去年と今年では症状が違いますし、家族構成も少しずつ変わっていくところで、市場は無限に広がっていく。そういうものです。

世の中には、名簿屋という職業が存在し、70歳以上の単独世帯であるとか、一年以内に配偶者を亡くした人だとかのリストは高額で売買されるらしい。それも、ただの住所録みたいな情報じゃなくて、子供や孫の名前、勤務先や学校名、趣味やクラブ活動なんてとこまで踏み込んだものだと、一気に値が上がる。そのリストが一度も使われたことがなければ、なお価値が高い。

実際には、こうした作業は細分化されていて、きっかけを作るような末端の情報収集は、極めて普通の人だったりするのです。

あなたに近寄ってきたウソみたいに親切な、ボランティアっぽい人が、意外に怪しかったりして…。

と、こんな話を聞かせてもらえるのが、『金環日蝕』(阿部曉子著・東京創元社)です。

『王様のブランチ』で紹介していたので、早速取り寄せましたが、今の若い人たちが本当にこんな喋り方なのかと違和感だらけで、素直に読めませんでした。ライトノベルってジャンルがこんな感じなんでしょうか? 特に、小中学生が大人びた表現をしていると、その都度ページをめくる手が止まってしまいました。テーマ性は、今そのもので素晴らしいと思うんだけど、小説としては幼稚なんじゃないかな? 77点です。