高一の英語の教科書は『The Merchant of Venice』でした。
江戸時代初頭の話でシチュエーションが古い上、表現もピンと来ないので、良さが全く伝わらず、ますます英語が嫌いになったのを思い出します。担任の先生に嫌われていたってのもあるんですけどね。だから、シェイクスピアも嫌い。何が面白いんだかサッパリ分かりませんでした。シャイロックという強欲な金貸しとだけ、記憶に残っています。学費の無駄だねぇ。
だけど、演劇界では多用されています、シェイクスピア・ワールド。
一番有名なのは『ロミオとジュリエット』です。「And you,Brutus?」の『ジュリアス・シーザー』、「To be,or not to be ? That is the question 」の『ハムレット』、その他四大悲劇の『マクベス』『オセロ』『リア王』も傑作だし、そういうのに手塚治虫が創作の上で大きく影響を受けたとされています。うーん、ちゃんと勉強するならやっぱりシェイクスピアなのかも?
元銀行員の経歴を活かし、金融機関を舞台に描く第一人者が池井戸潤です(井戸田潤は違う人です)。
『シャイロックの子供たち』が映画化されたので、先に小説を読んでから、TOHOシネマズに行って来ました。
いやいや、なかなかのリアリティです。
今はどうだか知りませんが、ひと昔前の銀行の営業は、あんな感じだったでしょう。市立船橋高校バレー部というか東海大菅生高校野球部というか? 銀行に限らず、世の中の営業組織が全てパワハラの塊でした。金融機関に多い文化系のインテリは、言葉ですら殴られたことありませんからね。心身が病んでしまった企業戦士も多かったと思います。
追い詰めると悪さに手を染めるってのもわかるし…。お金を奪るんじゃなくて、ちょっと借りるだけだと正当化するのもありそうな話です。
そして、小説と映画とは、ちょっと違う展開でした。
映画の方は芸達者を揃えたので、それぞれの見せ場を盛ったんでしょうけど、銀行員にしては大胆な人が多過ぎたと思います。バタバタ感が否めません。面白かったんですけどね。小説は、登場人物がイキイキと描かれて、章ごとに上手くまとまっていました。92点。