面白いとか面白くないじゃなくて、何を言っているのかがサッパリ分からない小説があります。
実際には、市場に流通しているのだから、誰もが理解できないってことじゃないんだけど、私には分からない。
書棚にある中で、その筆頭格が『鳩の撃退法 上・下』(佐藤正午著・小学館文庫)です。
文庫本のコシマキに糸井重里絶賛とあったので、釣られ買いでした。それならば間違いないであろうと。
上下巻1,100ページを超える大作ですが、それなら尚のこと期待できるんじゃないかと思ったりして…。
これが苦行の連続で、いつまで経っても入り込めません。
ついには、禁じ手のネット検索「ネタバレ」に頼りましたが、それでもダメ。「読書メーター」に寄せられたコメントにもピンと来ませんでした。むしろ、沼にハマった状態らしき人も多いようで…何だこりゃ? それが昨年の話。上巻の途中でリタイアしました。だって、わかんないんだもん(2022/9/18ブログ参照)。
先日、Amazonプライム・ビデオで映画版で観られることを知り、その2時間なら耐えられるかとチャレンジしました。
うーん、そういうことかと少しだけ理解に近づいたものの、まだよく分かりません。
映画版の「ネタバレ」検索を通じて、ようやく70%ぐらい。依然としてモヤモヤしています。
不思議ですわ、こういうの。分かる人がいっぱいいるってことですよね。映画にまでなってるし。この取り残された感が、そんなにイヤじゃなかったりして…何なんだろう?小説をもう一度、読み返してみることにしました。
このミステリー、ジャンルで言うと「叙述トリック」なんだそうです。読者の先入観を利用し、巧みな仕掛けを用いてミスリードへと導いていく小説技法のことでありまして、どうも私はその裏切られた感じを不快に思うようです。騙されベタなタイプ。
逆に言えば、そういうアイデアが浮かぶ人やそれを理解する人は、出来が違うんだろうなと思います。やれやれ。