現金商売は、お金の流れが不透明なので、誤魔化しがききやすいです。
だからというわけでもないでしょうが、ほとんどの飲食店は脱税行為を行なっています。
売上げを過少申告するのは当たり前で、プライベートの消費も経費に加えようとします。
それを繰り返しているうちに、後ろめたさもなくなっていく。むしろ、工夫しているのだと。
税務署サイドは、そんなことを百も承知なので、事業者のウソを簡単に見破っていきます。
面白いですよ、税務調査。お互いにニコニコしながら、虚々実々の駆け引きが行われます。
だけど、税務当局も経営不振のところには時間のムダなので行きません。ターゲットになるのは、優良企業。赤字であっても、様子がおかしいとみなされば、調査対象となります。
大企業の場合、政治的な駆け引きにも利用されます。銀行やマスコミなど、それをネタに揺さぶられたりもする。ことほど左様にスネにキズを持つのが経理処理なのであります。
まぁ、大きな話は置いておいて、小規模事業者のノウハウ本で面白いのが『そば屋はなぜ領収書を出したがらないのか?』(大村大次郎著・日本文芸社)です。この中で、興味深かったポイントを列挙します。
・税務署は多額な記載のあるコクヨの領収書をマークしている。偽造である可能性が高いからだ。
・また、コクヨの領収書は記号で製造時期が分かるようになっているのも注目ポイントである。
・飲食店は、仕入れから売上げを類推することができるが、手打ちそば屋の場合、それが難しい。
・政治家が、寄付された金額を遥かに上回る額の領収書を発行することがある。寄附金控除で戻ってくるというカラクリだ。
・脱税の方法は、売上を隠すか経費を水増しするかだが、やりやすいのは断然売上隠しだ。経費水増しはボロが出やすい。
・税法には曖昧な部分が多く、担当者によって解釈が変わることがある。だから、グレーな場合、決して引いてはならない。
作者は元国税調査官だそうです。なるほどねぇ。
税法の解釈が曖昧だというのは、保険会社にいたときにも感じたことで、当時、税理士からの入院給付金の課税についての問合せをことごとく論破し、こういうのは強く言った方が勝つんだと身をもって体験しました。
そういうもんです。税務署に対しては、背中を見せてはいけません。多分。