都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

世界でいちばん透きとおった物語

小説を読まない人がいるなんて、私には信じられないけど、活字中毒者と対極にいる活字アレルギーの人も結構いるようです。

そういう人は、こんなブログなんて、絶対に読まない。気持ちがあったとしても、アレルギーだから身体が受け付けないのです。

また、活字中毒者であっても、紙派とデジタル派に分かれます。

紙派の人は、たとえ読んでいなくても、そのうち読めるという安心感があります。缶詰みたいな保存食的存在。支配欲が満たされるってことでしょうか? 副作用として片付け下手があります。要するに、捨てられないってこと。性格に難アリです。

デジタル派の人は、時代に寄り添うことができる順応タイプ。これからは、そういう人の方が生き残っていく気がします。

 

各所で話題になっている『世界でいちばん透きとおった物語』(杉井光著・新潮文庫)を読みました。

この本のタイトルは強烈です。SMAPの『世界に一つだけの花』に相当する。「透きとおった」ってところがいかにもミステリアスです。

本書は、女癖の悪い人気ミステリー作家が病死して、その非嫡出子が父親が死ぬ間際に書いたとされる小説の存在を追う物語でありました。

なんか、スッキリしない話で、遠慮がちな言葉の並びに不自然さを感じながら読み進めていくと、なるほど作者の大掛かりなトリックの全貌が次第に明らかになります。このスタイルは、以前読んだ泡坂妻夫の『しあわせの書』に通じるものがありますが、それよりはるかに大変そうな仕掛けです。この作者も(いい意味で)変態なんでしょうね。こんなこと考えても、普通はやらないと俗物の私は思いました。

う〜ん、肝心のストーリーがイマイチなので86点。いや、好きな人はもっと高得点でありましょう。M1だと、点数が割れるタイプの独創的な作品なのであります。「透きとおってない」が正解だと思うんだけど、どうでしょう⁉︎

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 19点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 15点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 14点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 20点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 18点

【合計】86点