前半戦を終えて、首位に一ゲーム差とピッタリ付けたカープは、ファンに優勝を意識させてくれています。
好材料は、広島サミットの影響で、後半戦は地元開催を多めに残しており、甲子園を明け渡して死のロードが始まるタイガースと好対照です。
【残り試合におけるホームゲーム数】
広島 59試合中31試合
阪神 58試合中19試合(その他5試合は京セラドーム)
DeNA 60試合中28試合
セ・リーグの上位3チームは、いずれも本拠地で勝率6割超えであり、ビジターでは負け越しとなっているのです。ファンの声援はもとより、広島の夏の暑さが、不慣れな相手選手のスタミナを奪うことでしょう。
ところで、今季カープの戦い方で大きく変わったのは盗塁です。企図数の75はリーグ断トツのナンバーワン。昨年は、年間通じてで55ですからね。同じチームとは思えません。新井監督の失敗を恐れない覚悟のようなものが選手に勇気を与え、相手投手にプレッシャーをかけているのを何度も目にしました。指揮官が変わると野球が変わる好例です。
もう一つは、バッテリーの選手起用に決して無理をさせていないこと。
開幕からずっと一軍に居続けている投手は九里亜蓮と島内颯太郎だけで、他の投手はコンディションに気遣いながら、大事に使っています。
今季から捕手に再コンバートした三割打者の坂倉将吾を週一で休ませているのも、長いペナントレースを見据えて息切れさせないためのもの。屋外球場で暑い夏を乗り切ることや、乗り物移動の多さに配慮しています。選手は自分から休みたいなんて言いませんからね。そのへんのところ、分かっているんだなぁ。
カープの先発投手は、大瀬良大地・九里亜蓮・床田寛樹・森下暢仁と四枚が安定的に計算できます。これを二枚ずつ三連戦の頭から起用して、三戦目にそれ以外を登板させるシステムは、連敗しないためと三戦目の特に日曜日が翌日移動日となるのを見越して救援陣を注ぎ込みやすいとする算段です。戦いが続く中では、適度に負けた方が後ろのピッチャーが疲弊しない。間引き戦略です。
DeNAがバウアー中心のローテーションを組んでいますが、それでは他の先発投手への影響が大き過ぎる。彼の力があるのは認めるけれど、監督が気を遣いすぎるような選手って、どうなんでしょう? ヤクルトにいたホーナー選手を思い出しました。
監督発信のコメントでは、選手を貶すことなく鼓舞し続ける新井監督に対し、やたらと愚痴っぽくなる岡田監督とでは、人間力が違いすぎるように思います。少なくともZ世代に公開処刑のような厳しい言葉は噛み合わない。それは、巨人や中日にも言えることです。
私は、前々監督の緒方孝市のマネジメントスタイルも評価していましたが、新井貴浩はそれ以上です。腹心のコーチたちの意見にもちゃんと耳を傾けている。だからこそ、ベンチワークの総量が増しているのだと思います。チームは家族だとは、よく言ったもんだ。私の戦前の予想は二位でしたけど、本命と見ていたヤクルトがこけた状況では、いけるんじゃないかなぁ。そう考えています。