都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

ミカエルの鼓動

医者と気象予報士と占いの先生は似ていると思います。

不確実なことをボカシながらも自信あり気に言うからです。

その言葉を曲解されて、恨まれる場合もあります。感謝もされるけど、罵声を浴びせられることだってある。

そういうのを繰り返すうちに、感情を押し殺すようになります。

松岡修造みたいな医者はいません。

 

『ミカエルの鼓動』(柚月裕子著・文藝春秋)は、最新手術用機器を巡る人間模様を描いた医療ミステリーです。

ミカエルとは、旧約聖書の神と人を仲介する天使のことで、器械にはその名前が付けられています。サタンと闘った天使。

最先端を行っているハズのミカエルに欠陥があるかもしれないってことで、揉み消そうとするとかしないとか。医療現場は密室なので、全てがあからさまになるわけではありません。そのへんに、犯罪との親和性がある。全部チェックされたら、手術なんて震えてできないってこともあるのかも。

法律絡みのサスペンスと違って、言葉で説明できる部分に限りがあり、医療もののストーリーは、イメージするのが難しく、なかなか入り込めないってとこ、あるんでしょうが、ここのところの柚月作品は、守備範囲を広げ過ぎて、散らかっちゃったように思いました。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 16点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 13点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 14点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 14点

【合計】73点