女性エッセイストの草分け的存在は、林真理子と群ようこだと思います。
清少納言が日本初の随筆家だと見る向きもありますが、商業ベースに乗せたってとこで、二人の功績は大きい。
自分の頭で考えたことを自由に表現するってとこ、女性には遠慮みたいなところがあって、独自の考えを臆せず主張することについて、道をつけたのではないでしょうか?
林真理子はその後、本格的な作家活動へと軸足を移しましたが、群ようこは雑誌に連載するエッセイが中心で、その合間に小説を出す感じ。文体も中高生で十分に理解できるような平易さで、読者層を広げました。オンナオンナしてないのも特徴です。
『こんな感じで書いてます』(新潮社)は、最新作。群ようこなりの文章作法をまとめたものです。
作家然としていませんから、非常に親しみやすく、参考になるところがたくさんありました。
・歌の上手い歌手が全て売れるわけではない。それほど上手くなくても売れている人はたくさんいる。だから、文章が上手いに越したことはないけど、それよりも自分の個性を表現する方が大事なのだ。
・ネタ(題材)は見つけようとして見つかるものではなく、向こうからやってきたものをキャッチするものである。
・プライベートを書くのが嫌な人はエッセイを書くのに向いていない。物を書くということは、見ず知らずの他人を傷つけ、自分の恥を晒すことなのだ。
・本はただ文字を追うだけでなく、行間を読むのが大切だ。少ない情報から自分の頭で映像や文章を創り出すことが大切なのである。
・自己啓発本などで、大事なところを太字にしているのがあるが、そういうのを繰り返し見ていると、自分で考える習慣を失ってしまう。
・エッセイのコツは、自分の自慢じゃなくて、自分のダメなところを見つめ直して書くことだ。
・本を読めば想像力が養われる。単行本なら2,000円、文庫本なら700円程度で過去へも未来へも行ける。そして、世界中の物事を知ることができる。VRゴーグルなしで、自分の脳内で何でも体験できるのだ。
・物書きというものは、大勢の人が◯だと言っても、自分は✖️だという気持ちを持っていなければならない。
勉強になりました。