都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

黄色い家

横浜の中華街を歩くと多くの人が方向感覚を失ってしまいます。それは、四角の中に菱形を嵌め込んだような道路の作りになっているためで、京都や札幌みたいに縦横で碁盤の目のように整然と仕切られていないからなんです。

どうしてそんな風になったかと言うと、風水における「四神相応」という思想を取り入れており、北に玄武、 南に朱雀、東に青龍、西に白虎という聖獣を配置して、都市の守りとする考えがあるのです。

中国では道教の経典ともいうべき「仙道五術」の中に風水の考えが含まれていて、住居やお墓について、こだわりを持つ人が多いと言います。

日本の風水の歴史は、遣唐使が持ち帰ったとされていて、陰陽師安倍晴明なんかが有名ですが、そこからの進化が中国とは違っていて、日本の場合はインテリアが中心で、怨霊から身を守るためにどうすべきか、どうすれば幸運を招くことができるかがテーマとなっていきました。

私が聞きかじった風水の知識は、「玄関の靴を片付ける」「トイレを清潔にする」「洗い物を出しっ放しにしない」「寝具をこまめに取り替える」「寝室に水槽・鏡・ぬいぐるみを置かない」なんてところ。ネットで調べれば、いろんな話がたくさん出て来ます。基本は掃除して、清潔にして、ってことなんだけど、ズボラな人は、買い足していく方向に目が行きます。観葉植物だとか財布だとか家具だとか照明だとか。チェックポイントは無数にあって、のめり込むと散財することになるかもしれません。

 

『黄色い家』(川上未映子著・中央公論新社)は、親もとを離れて集まった少女たちが、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染めて、人生の目的を失っていく物語です。

基礎的な学力が満たされないまま、親の愛情が注がれずに育つと、正常な判断力を失くしてしまいます。そんな中で、断片的な風水の知識「黄色は金運アップにつながる」が主人公である17才少女の頭の中を支配するんだけど、お金を集めてもそこから先にどうすれば良いかが見出せないまま破綻してしまう。そんなに悪い娘じゃないのに、環境に恵まれないと、こういう落ち方を迎えるんだと陰鬱な気持ちになりました。

『王様のブランチ』で「ブランチBOOK大賞2023」に選ばれていたので、期待して早速買い求めたのですが、オンナオンナしてるからかなぁ。私には合いませんでした。

ところで、今日は『色の日』だってこと、知ってましたか? 主人公は、意識してたんだろうなぁ。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 16点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 15点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 13点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 15点

【合計】75点