その昔、管理職をやっていたときに、部下の女性から聴いた話なんだけど、『愛少女ポリアンヌ物語』というアニメがあって、その中で主人公がその日に起きた良かったことを友人に報告して一日を終える習慣を持っているという話をしていました。そうすることで、良い気持ちで次の日を迎えられるというのです。
今から30年以上前の話ですが、なるほど、心がほっこりするなぁと思ったものです。
この「良かったこと探し」、言い方を変えると「美点凝視」となります。相手の良いところを探し出して見つめる。
人には良いところ(長所)もあれば、悪いところ(短所)もあります。どちらかと言えば、短所が直ぐに分かるけど、長所はなかなか見えてこない。しっかり見ようとしないからです。
だから、意識して長所を見つけ出そうというのが「美点凝視」です。
相手の長所を見て、相手のことを好きになることで、相手からも好かれるようになる。お互い様ですからね。「美点凝視」が大事です。
混戦のセ・リーグで、貧打に喘いでいた広島カープが、徐々に戦力を整え、抜け出そうとしています。
その最大の理由は、新井貴浩監督の「美点凝視」の姿勢です。
プロ野球の監督は、試合後に勝っても負けてもコメントを求められますが、新井監督は選手に対するマイナスの評価を一切口にしません。ボロボロに負けたとしても相手を称えたり、凡退した自軍の選手の結果でなく内容を褒めたりと、敗軍の将兵を語らずを貫いています。
そこのところが、岡田彰布・阿部慎之助・立浪和義と違うところ。
選手は失敗を恐れずに伸び伸びとプレーして、全体的にチーム力が上がって来ました。今まで苦手としていた交流戦でも優勝するかもしれないと密かに期待しています。
「美点凝視」を続けることで「好意の返報性」から一体感が生まれる。
この考え方が組織を強くするのです。