都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

奇跡のレッスン

改めて思うけど、NHKという放送局は、本当に良い番組をたくさん作っています。

今まで、ほとんど観ていなかったのは、もったいないことをしたなぁと。その企画の一つが『奇跡のレッスン』です。

番組表をぼんやり眺めていて、夜中にBSで作家・重松清による小説の書き方についての授業があることを知り、チャンネルを合わせました。

 

ここでは、一度も長文を書いたことがない10歳から16歳の子どもたち男女12人を集めて始まります。

重松先生の授業は、公園や商店街を歩き回ることからスタートしました。各自が想像力を膨らませて、人や風景を徹底的に観察します。それが、小説を描くためのインプットの訓練になるというのです。気が付いたこと、面白いと感じたことで脳内に膨らませていくんだと。

そして、ここでのひと捻りの工夫は、そのフィールドワークを年齢の異なるペアで進めたこと。同じものを見ていながら、感じ方が人によって違うってところに気付かせるのです。

なるほどねぇ。生徒たち以上に、私の心にもビンビン響いてきました。以下、重松語録。

「小説を書くということは自分以外の人のことを考える想像するということだ」

「物事にはいろんな見方があって、いろんな人がいる。いろんな考え方がある。そんないろんな考えを自分の中にたくさん持っている人が作家的な人なのかもしれない」

「風景や音、匂いなど、インターネットの苦手を感じて言葉にすることが大切で、それが文章を描くコツでもある」

 

実践編では、具体的なテーマをイメージさせます。

その際に留意すべきは、主人公を身近な人にするのと、最後は明るい言葉で締めくくるということだとしました。子どもたちには「小さな大冒険」を課題として、それぞれのプロットを考えさせます。思い浮かんだ言葉を箇条書きし、あらすじを組み立てる。そして、描き始める。

端折りましたが、その結果、12人全員が小説を完成させました。みんな普通の子たちなのに、できるんですね、そんなこと。

そして、それぞれの成果発表では、プロの声優が心を込めて読んでくれました。これが局側としてのプロの演出。まいりました。泣きそう。

 

それにしても、特別な教育訓練をしたわけでもない(多分)重松清先生が、生徒一人ひとりを励ましながら、スキルアップさせていくさまは感動的でありました。それは、小説の書き方を教えているというよりも、生き方を教えているように思えます。

そうかそうか、正しい大人は、子どもたちのお手本だと自覚してるんだなぁ。また一つ、奇跡が起こりました。