都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

復讐の協奏曲

ラジオはニッポン放送と決めておりまして、ナイツや辛坊治郎にべったりなんですけど、番組中のCMが、テレビやネットと違うスポンサーであるのが面白いなぁと思います。いわゆる大手企業のものは少なくて、消費者金融や精力剤など、未成年者を相手にしない、文脈で勝負する理屈系の商品が目立っている。

そんな中、特に気になるのが法律事務所が流す利息を払い過ぎてませんかとか、B型肝炎じゃないですかのやつ。インチキっぽいからです。

「夫に勧められて請求してみたら、百万円が戻ってきました」

本当かねぇ?その場合、いくら抜かれるんでしょうか?この流れ、詐欺グループの受け子の話に似てくるんだけど。

そのうち、法律事務所への過払金相談受付みたいなCMが出てくるかもしれません。

 

ひと昔前は、医者か弁護士が高収入で人気の職種だったけど、1999年に始まった司法改革で、それまで500人程度であった司法試験の合格者が2,000人以上に増えたことによって、弁護士業界は一気に冬の時代に突入したと言います。チャットGPTの信頼性が増すと、ますます脅かされるようになる。わからないもんですね、先々の話。ワイドショーのコメンテーターへ進出する人が多いのも、そんな背景が影響しているんでしょう。

そうなると、弁護士自体、正義の代弁者としてのワンパターンでいられ続けるハズもなく、悪者寄りの人が増えていくようにも思います。

 

中山七里の御子柴弁護士シリーズ『復讐の協奏曲』(講談社文庫)は、少年時代に殺人歴のある弁護士が主人公となって活躍(?)するミステリーで、関わってくる司法関係者も闇の部分を抱えており、たくさんのなるほどを想起させます。

これがシリーズ5作目とのこと。初期の作品も読んでみようと思います。

それと、この作者は嫌味なほどに自分の語彙力を見せつけてきます。文中に知らない表現や言葉、漢字の読み方が出現したので列挙します。

 

牛頭馬頭(ごずめず)→仏教でいう頭が牛や馬の形をし、体が人である地獄の鬼のこと

虜囚の身(りょしゅうのみ)→囚われの身

論う→あげつらう、あれこれと論ずる

牽強(けんきょう)に過ぎる→こじつけが酷い

知悉(ちしつ)する→知り尽くしている

権力に倦(う)み飽きた→権力に居続けることがイヤになった

莞爾(かんじ)として→ニッコリとして

セルブーズ→女性の給仕

員面調書→司法警察職員に対して被疑者や参考人が供述したところを録取した調書

胡乱(うろん)な→真実かどうか疑わしいこと

夾雑物(きょうざつぶつ)→あるものの中に混ざっている異物、余計なもの

リビドーを撒き散らす→性衝動を吐き出す

誑し込む→たらしこむ

頑是(がんぜ)ない→聞き分けがないまたはあどけない

恥辱の泥濘(でいねい)に沈める→徹底したはずかしめを与える

質問を躱す→質問をかわす

嗜虐(しぎゃく)→残虐なことが好きなこと

戒護員→受刑者を見張る人

 

辞書を引きながら文章を読むのは、外国語学習みたいで疲れますが、勉強にもなるので気持ちよかったりもします。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 17点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 20点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 20点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 19点

【合計】93点