リーグワンに世界のスーパースターが次々とやって来たことによって、大きく変わったのがレフェリーの技術です。
チームの半数以上が外国人であることによって、英語でコミュニケーションを取れなければならない。と同時に、その判断が世界基準でなければ、信頼を得ることができず、そっぽを向かれてしまいます。
だから、ラグビー協会は、レフェリーの育成に力を入れています。
昔と比べると、試合中に選手たちとメチャクチャ喋っているのをご存知でしょうか?
「早くラックから出て」「ボールを持ちすぎない。手を離して」「今のタックル、少し早いよ」など、選手たちに注意を与える。同じ注意が何度か繰り返されると「次、やったら笛を吹くよ」「次、気を付けてね」と警告。選手がそのアドバイスや警告に従い、反則を犯さずにスムーズに試合を運ぶと、レフェリーは「ありがとう」と感謝する。
つまり、レフェリーは反則を見つけて罰を与えることよりも、選手の安全を守りながら不用意に試合を切らさずに続行することを目的としているのです。そのため、反則があった場合でもプレーが中断することなく、反則を受けたチームがボールを持って攻撃を展開していれば、アドバンテージの合図を出したまま、プレーを続行させます。だけど、反則を取って試合を再スタートさせた方が、反則を受けたチームに有利になると判断したときは、笛を吹いて試合を止めます。それは、反則を罰すること以上に試合の流れを重要視しているからなんです。
そういう意味では、ルール理解を通じてこそ選手のレベルも上がる。審判を欺くような痛がり方をしないのも、紳士的なスポーツたる所以です。
本日、みぞれ混じりのコンディションの中、落雷による中断を挟みつつ行われた帝京VS明治の大学選手権決勝は34対15で帝京大学の三連覇となりました。私はこれをNHKの副音声で視聴。ルールなんて、そこそこ分かっていたつもりなので、どうかと思っていたのですが、これが目からコンタクトレンズでした。副音声では、単なるルール解説ではなく、レフリーの集音マイクから拾った声の解説をしていたのです。同時通訳みたいな役目。
プレーの精度を上げるためには、ルールひとつひとつの立法趣旨を知ることが重要であり、他の競技に比べて、その必要性が高いことに気付かされました。おそらくは、強豪校のラグビーチームは、そのへんのところに多くの時間を割いているものと思われます。ダメな指導者は、技術さえ教えれば良いと考えている。その差は大きいんだなぁ。