市原悦子という人は、演技にしても歌にしても、うまいんだかヘタなんだか、よく分からないところがあります。
キレイなんだかそうじゃないかも。
デフォルメがきついからですかね、驚くにしても怒るにしても笑うにしても大げさなんです。
だから、日本昔ばなしはハマリ役でした。
三人ぐらいの声の使い分けは、最も得意とするところ。
大げさがとても良かった。
そして、人様の生活をノゾキ見する家政婦役は、女優としての代表作です。
こう言ってはなんですが、お顔が庶民的なもんで、そういう仕事の人にいそうな気がする。
って言うか、同性に嫌われない顔ですね、多分。
ストーリーは、お金を持っていても、幸せになれないんだわというヒガミ根性が根底にあって、全国の貧乏人に指示されておりました。
よかった、うちはお金が無いけど、あんな家よりはマシね、と。
市原悦子と対極的なポジションにいるのが松嶋奈々子だと思います。
そういう仕事の人にいないでしょう?あんな顔とスタイルの人。
それに、大げさじゃないでしょう?どちらかといえば、ワンパターン。
だから、プロデューサーは無表情の演技でデフォルメを図りました。
それが、パロディーとしての『家政婦のミタ』。
こういう演技もうまいんだかヘタなんだか、よく分からない。
いや、大げさじゃない人に大げさな演技をさせた企画の勝利でありました。