都会のネズミと田舎のネズミ

時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。

日本語教室

私の書架には、大小約5,000冊の本が並んでいます。
月に10冊のペースで購入するものの、読むのは週2冊がやっとなので、未だかつて手をつけていない本が、赤字国債のように積み重なっていきます。
多分、500冊くらいは、読んでいません。
それをときどき思い出したように読み始めるのもまた、楽しいのであります。

昨日は、大阪への出張だったので、カバンには2冊を入れていきました。
ひとつは、昨日のブログへ掲載した対談本。
もうひとつが、井上ひさし氏の『日本語教室』(新潮新書)です。

以前より日本語に関する本を買いあさっておりまして、この本の発行年は2011年。
8年ぶりで、日の目をを見ました。
ここで描かれた内容は、2001年に井上氏が上智大学で四回にわたって行った社会人向けの講演を書き下ろしたもので、口語体で進んでいくので、とても読みやすいものでした。
例によって、同書の中から、いくつかピックアップします。

  ・第二次大戦後、アメリカをはじめとする連合軍は、日本が凶暴な国なので、農業をすればよいと農地解放を
  進めた。その後、冷戦が始まり、日本を防共の防波堤とすべく、急いで工業化へと舵をきった。経済的に、日
  本はアメリカの子会社となっていった。しかし、あまりにもいいものを作り出したので、プラザ合意で日本の切
  り離しにかかった。しかし、惰性がついていたので、思うようにはならなかった。

  ・日本人は、自分の国が一番いいとは思っていない。絶えず、いいところは他にあると思っている。こうした傾
  向を「地上ユートピア主義」という。

  ・今、日本語は外来語の氾濫で「カタカナ倒れ」になりかかっている。一方で、漢字があまりに便利で造語力
  があるため、「漢字倒れ」にも気をつけねばならない。

  ・ふだんはあまり気にしていないけど、私たちは三種類の言葉を使い分けている。「やまとことば」「漢語」「英
  語」だ。たとえば「きまり」「規則」「ルール」、「かたち」「形態」「フォーム」、「えらぶ」「選択」「チョイス」、「とまる」
  「停止」「ストップ」など。だから、外国人は苦労するのだ。

  ・たとえば、イチから順に数えてみる。イチ・ニー・サン・シー・ゴー・ロク・シチ・ハチ・キュージュウ。
  今度はジュウから。ジュウ・キュー・ハチ・ナナ・ロク・ゴー・ヨン・サン・ニー・イチ。あれ?
  上っていくときは漢語、下りていくときはやまとことばとなる。なんだ、この使い分け??
  芝居の台本は、漢語だと理解が遅れるので、やまとことばを使うようにしている。

  ・最上川は、世界的に見れば短い小さな川だが、山形に降る雪は、全部最上川に流れることになっている。
  川の支流も他県に行っていないし上流も山形県。つまり、一つの県に一つの川というのは、日本で最上川
  けである。山形県の降水量を全部集めているから「五月雨を集めて早し最上川」となる。

何をどこまで本気にしていいかが分からないところがまた、同氏の魅力なのであります。