都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

歪笑小説

芸能や芸術に関わる人々は、プライドが高く、認めて欲しい気持ちが強いので、周囲の人たちがいろんな気遣いをします。
以前、大物お笑いタレントの番組収録に立ち会ったとき、たいして面白くないギャグに過剰な笑いで応じるディレクターを見て、やり過ぎだなぁと思ったものですが、こうした“ヨイショ”は、業界の常識らしいです。
文壇でもしかり。
作家の場合、ものを書くスピードに限度があるため、どこの出版社から本を出すかは重要なことで、そのために文学賞が設立され、連載モノの月刊小説誌があるわけです。

そんな出版業界の内幕をブラックなギャグ満載で描いたのが『歪笑(わいしょう)小説](東野圭吾著・集英社文庫)です。
スライディング土下座を得意技とする伝説の編集長とか、小説がテレビドラマ化されて舞い上がる二流小説家とか、単行本のときに加筆修正がある限り、連載モノの月刊誌は下書きにすぎないと中学生に看破されてタジタジになる若手編集者とか…それはもう、笑いが満載でした。
中でも、新人賞を取ったものの、その後は鳴かず飛ばずでおよそ売れるとは思えないハードボイルド作家の作品を話題性のあるものに仕向けるべく、作家自身のイメチェンを図ったくだりは大笑いでした。
アフロヘアーと髭に赤のレザージャケット・豹柄パンツ。一人称は「私」じゃなくて「オレ」。言葉遣いはワイルドに…。
これ、なんとなく最近起きた出来事に繋がりませんか?
あいつの書いたもの、ちょっと読んでみようか…??

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