父親が放送局勤務であったため、我が家はいち早くテレビを購入しておりました。
私の成長は、テレビとともにあったと言っても過言ではありません。
いわゆるテレビっ子。
『チロリン村』だとか『ブーフーウー』だとか『ケペル先生』『狼少年ケン』のような、幼児向けの番組は当然として、『てなもんや三度笠』や『お笑い三人組』や『スチャラカ社員』などのお笑いも大好きで、連日、楽しみにしていたものです。
しかしながら、もっと興奮するのは、アメリカドラマの吹き替えものでありました。
『ローハイド』『ララミー牧場』『パパは何でも知っている』『ミスター・エド』『ルーシーショー』『わんぱくフリッパー』など、アメリカの雄大な自然、広い家に大きな冷蔵庫に何人も乗れるような立派なクルマ…そんな生活に憧れたものです。
番組制作の予算の違いでしょうか、ストーリーのまとまりも国産ドラマとはひと味違っていたような気がします。
そして、最も気に入っていたのが『コンバット』。
戦場が舞台となっているものの、アメリカとドイツが闘っているのは現実感が薄く、戦争の悲惨さよりもむしろ、勇気だとか信頼だとか責任感だとかに感じ入ることが多く、私の人格形成に大きな影響を与えていたように思います。
今も高校野球の応援にアレンジされているマーチ風のテーマソングが素晴らしく、絶対死なないサンダース軍曹は、今で言う戦隊ヒーローといったところでしょう。
このときの気持ちを言えば、「アメリカ頑張れ」「ドイツなんかに負けるな」でありました。
いわゆる洗脳ですね。
こういう番組を見せられているうちに、深層心理の中に、いろんな感情が植えつけられていくようです。
漫画家の小林よしのり氏は、その著『新戦争論』の中で、“ウォー・ギルト・インフォーメーション・プログラム(WGIP)”について触れています。
簡単に言えば、アメリカによる戦争についての罪悪感を日本人の心に植え付けるための宣伝計画ってことで、太平洋戦争が起こったのは、一部の軍国主義者である日本人が国民を裏切って暴走したためであると思わせること。
これによって、『大東亜戦争』という文言の使用が一切禁止されました(大義の否定)。
考えてみれば、二つも原爆を落とされたのに、ほとんどの国民はそれを恨むことなく、悪いのは軍人であり、その暴走を許してしまったのは、自分たちにも責任があると考えさせたのだから、たいしたものですよね、マインドコントロール。
だけど、その結果、国民全体に戦争アレルギーが拡がりました。
これを変えていくには、歴史教科書から見直していかなきゃならないんだけど、時間がかかるんだよなぁ。