都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

私的面白本ランキング2024①

毎年恒例となった、私が今年読んだ本のベスト10を発表します。あくまで、私が今年読んだものからってことで、お許しください。

まずは、小説部門から。一人の作家からは一冊のみとしています。

 

1位 白鳥とコウモリ(東野圭吾

2位 存在のすべてを(塩田武士)

3位 ダブルバインド(城山真一)

4位 傲慢と善良(辻村満月)

5位 テミスの剣(中山七里)

6位 悪逆(黒川博行

7位 無理(奥田英朗

8位 暗殺(柴田哲孝

9位 ゼロ打ち(相場英雄)

10位 嘘(北國浩二

 

トップは東野圭吾から。この人の作品に外れがないんだけど、その理由は二つあって、まず登場人物のキャラが立っていること。ほとんどはドラマや映画化されており、阿部寛福山雅治のイメージが重なって、脳内での映像変換がより具体的になります。そして、文中で交わされる会話劇が脚本に近づいているので読み手のスピードが加速されるのです。『架空犯』も面白かった。

2位の『存在のすべてを』は、1位と遜色のない出色の出来栄えでした。塩田武士の文章は、情景だけでなく、色や音、それに匂いを感じさせる五感に訴えかけるもので、こういう人は俳句の世界でも達人なんだろうと思わせます。

3位は看守シリーズで名を上げた城山作品から。この作家は文章が簡潔で、スピード感に溢れているため一気に読み終わらせてしまう力が強いです。日本の警察小説史上、最も不幸な刑事とあるコシマキは、ちょっと大袈裟かもしれませんけど⁇

4位は『傲慢と善良』。私の趣味からすると異色の恋愛ミステリーからの選出です。男性が女性心理を理解するのは、練習量が違い過ぎてなかなか難しいんだけど、この本はいろいろと勉強になります。

5位は中山七里。今年は、この作家にハマりまくって、『連続殺人鬼カエル男』『ネメシスの使者』『境界線』など、オススメ本がたくさんありました。どんでん返しの帝王などと呼ばれ、ハードルがどんどん高くなっておりますが、そんなプレッシャーを跳ね除けて書き続ける構想力は並外れたものがあります。

6位は、『悪逆』。 車のナンバープレート工作や盗聴器バスターの現況、財産の隠し場所なんかが紹介されていて、犯罪の教科書のようでさえあります。なんか、悪人のカタログを見ているようでもあり、ドキドキしました。作者はどんな人と付き合っているのでしょうか?知りたいような知りたくないような…。

7位は奥田英朗から。この作者の心理描写がスゴい。それと、田舎暮らしのマイナス面を的確に捉え、作品に反映させています。岐阜市内の出身らしいので、それほど田舎というわけではないけれど、文化や教育におけるハンデを通じて、感じるところがいっぱいあったんだろうなと想像しています。

8位は安倍晋三元総理をモデルとした話題作『暗殺』です。母親が宗教に潰されたからと言って、政治家に復讐するという話は、どうにも繋がらないのですが、この小説は陰謀論を裏付けるかのように、証拠固めを重ねていきます。信じるとか信じないとかじゃなくて、フィクションとしてとても良くできた作品であり、多くの人に読んでもらいたい一冊です。

『ゼロ打ち』は、選挙の年を象徴するタイムリーな小説です。相場英雄は共同通信社で新聞記者をやっていたので、いろんな情報を持っていて、会社勤めでは言えないような話をフリーの立場から表現するってとこが、面白さの根幹にあります。エンタメでありながら、教育的効果もあるタメになる作家だと思います。

10位は『嘘』。映画化は『かくしごと』と題名を変えて、渡辺謙の娘である杏が主演で上映されました。なるほど、かくしごとの方が収まりがいいですね。作家は書く仕事なんだから、もうちょっと考えた方がいいと思います⁉︎

 

ランク入りはしなかったけれど、『地面師たち』(新庄耕)と『女の国会』(新川帆立)も読んでもらいたい一冊です。

いやぁ、充実した読書ライフでありました。