今はどんな風に言うのか知りませんが、当時、社会貢献部門の担当者たちは、自分たちのことを「シャコタン」と呼んでいました。
各社の担当セクションが、本業とかけ離れた自分たちの任務に対し、ちょっと斜に構えていたようなところがあったのです。
実際、配属されているのは、第一線のバリバリって感じじゃまるでなくて、窓際で人のよさそうなおじさんか、頭はいいんだけど社交的とは言えず、空回りしている女性、そんなのばっかり。
そりゃ、そうです。そんな仕事、いくら頑張ったところで自社の業績は上がりませんからね。
しかしながら、業界の集まりを重ねているうちに、窓際ではなかった私(?)は、これはチャンスだと思うようになりました。
というのは、出てくる意見が正しくはあるものの、似たり寄ったりで、面白くないものばかりだから。これでは、会社で企画したとしても、ごく一部の社員しか参加しません。シャコタン素人(?)の私には、一般社員が考えそうなことがよく解ります。
そうじゃなくて、できるだけ多くの人間がちょっとでいいから興味を持つようにすること。それこそが、企業における社会公共活動セクションの使命だと考えたのです。
そこで、キャッチフレーズを『軽ボラ』(軽いボランティアの意)とし、とにかく一人でも多くの社員が行動を起こすようなワクワクする仕掛けを行いました。
『軽ボラ』には三つのステップがある。
①「集める」使用済みのテレカや切手を集める。これは仕組みの問題。
②「払う」とにかく時間がないのでお金で済ませる。寄付する。
③「する」これは、参加するボランティア。
目標は③の具現化ですが、少なくとも②までなら、誰だってできる。そう考えて、いろんな仕掛けを作っていったのです。
そして、その大掛かりな第一弾が『ボラボラ』です。これは、ボランティアに対してのボランティア。震災から数ヶ月が経過し、疲弊し始めたボランティアに対し、励ましのための焼き肉イベントを行うというものでした。
趣旨を説明して、経費捻出のため社内から募金を募り、同時に参加者も募集します。その頃はまだ、ボランティア休暇なんてありませんから、有給休暇を利用した上でのもの。東京からは20人ほどおっちょこちょいが集まりました。
実際は、簡単な話で、現地のコーディネーターに話をつけて場所を確保し、関係者へ連絡してもらう。あとは普通に焼き肉パーティーです。
当日、サプライズは宣伝担当者からこの話を聞きつけたCMキャラクターであるうじきつよしさんが、たくさんの栄養ドリンクを抱えて差し入れに来てくださったことです。大いに盛り上がった宴(うたげ)となりました。
この話は、参加者を通じて社内に一気に広まり、新設部門が着実に認知された日となったのです。それが『ボラボラ』。
『軽ボラ』については、まだまだいっぱいありますが、それは稿を変えてまた、ご紹介いたします。