都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

ボラボラ②

生まれてから一度もウソをついたことがない私が、ウスをついたのが、震災炊き出しボランティアの一回目でありました。

JCの仲間が選んだ先は、神戸市須磨区
震災発生から一ヶ月たったころ、ビル取り壊しの粉塵のなか、約50名で編成された一団が、平行四辺形に歪んでしまった街へ乗り込みました。
お餅と雑煮の炊き出しで、被災された方々に届けることで、温かい気持ちになってもらおうとのこと。
こういうときに、異業種が混在するJCメンバーの仕事は早い。
手ごろな空地を見つけるやいなや、設計事務所が線を引き、それにそって建設業がテントを組み立てる。イスやテーブルは家具店が用意、食材はスーパーマーケットが担当。その他、レストランの支配人、米穀店の若旦那と多士済々。極めつけは、清掃業の存在で、まるで『サイボーグ009』を見るような、スペシャリストの集まりです。

ここでは、保険会社は何の役にも立たないことを痛感します。
私はカメラを抱えて、記録係になってました。

口コミで行列ができ、準備した千人分の料理はあっという間になくなりました。やれやれ。

 

翌日は、長田区を中心に避難所を取材して回りました。
全国各地から集まってきた学生が、大勢いました。
これがいわゆるボランティアか。
春休みが終わるまでに、避難所の自治組織を確立させるべく、いろいろと仕掛けているのだけれど、(住民の)反応が鈍くてイラ立っていたのは意外でした。
避難所である体育館には、あちこちでお年寄りがジッとしています。することがないから。
そういうのって、必ずしも地震が原因ではありません。老人の対応に不慣れな若者たちにとって空気が重く、気が滅入っている様子です。

お風呂を見せてもらいました。
ドラム缶を並べてテントで囲っただけのものですが、それでも最初のうちは大喜びで入っていたらしい。
しかしながら、今は違う。
「ぬるい、風邪を引いてしまう」「お湯を取り替えてください」
当然のように要求されれば、戸惑いも大きいのです。
こうした事情は、避難所ごとに少しずつ異なっていました。いわゆる避難所格差。
交通の便が悪く、マスコミに取り上げられにくいところの体制は、充分でなかったのです。

そのほかにも、大勢のボランティアから、いろんな話を聞くことができました。
たくさんの価値観がぶつかり合いながら、お互いを高めあっている感じです。
そして、会社員は会社に所属していることで、いろんなものを享受していることも再認識。
自分たちに何が出来て、何をしたらいいのかを、たくさん考えさせられました。

(つづく)