パチプロ時代、不潔な手で眼を触ってはものもらいができるのが職業病で、ロート製薬のサルファー剤目薬を常備しておりました。
これが、私と目薬との出会いです。
これが、効くなんてもんじゃない。一撃必殺で、次の日には日常に戻れるので、神の存在でした。
けど、すぐ治ってしまうから、余った分が無駄になってしまう。だから、せっかくなので多めに垂らすのが常道です。こぼれるしね。
あれから50年、眼病を患って医者の世話になってみると、この目薬との付き合い方が間違っていたことを知ります。
まず、ひとくちに目薬と言っても、病院から処方されるようなやつは結構な劇薬で、たくさん使えばいいってもんじゃなく、その場合はむしろマイナスになる。
決められた間隔でもって、一滴だけ垂らし、点眼後はしばらく眼を閉じるんだと。
油分の多いものは、フルーツジュースみたいによく振ってから点さなければなりません。
そういうのって、医者からの指導はないのが普通です。「目薬を点してください」としか言わない。つまり、やり方は患者任せです。
だけど、目薬の使い方って、教えてもらったことがある人、いるんでしょうか?
医療の問題って、そういうところにあるんだと思います。医者は、忙しいから細かい説明をしないので、方法は合ってるけれど、そのやり方が違うという。
昔、定食屋をやってたときのお客さんで、鯵の干物に醤油をかけて食べていたんだけど、食後にしっかり高血圧の薬を飲んでいた人がいました。
一般人なんて、そんなもんです。薬を飲めと言われれば、指示通りきちんと守る。何故ならお医者様はエラいから。だけど、干物に醤油をかけちゃダメだと言われてないので、そこは思った通りにするんです。本当は、薬の処方だけじゃなくて、食生活の改善を指導すべきなんだけど、面倒臭いからねぇ。だったら、チラシでも作ればいいのに、それはやろうとしないのが医療の現場です。病気には興味があるけれど、患者には興味がない…。
二階から目薬とは、よく言ったもんだねぇ。