昔は素人参加のクイズ番組がいっぱいあって、夢のハワイ旅行だとかクイズグランプリだとかに夢中になって、一緒に答えようとしてました。
中でもドキドキしたのが田宮二郎が進行役だった『タイムショック』です。一分間で100万円のチャンスというのが謳い文句で、回答者を追い詰めるような音楽が印象に残っています。
そんなに難しいマニアックな問題はほとんどないけれど、ジャンルが多岐にわたっていて、ポンポンと繰り出されるスピードがスポットライトに不慣れなクイズ自慢たちを苦しめていたように思います。時折り出される「今、何問目?」は、思考回路を壊すのに充分な効果があったことでしょう。
今日は夕方からずっとAbemaの将棋王座戦第三局に釘付けになっておりました。
のっぺり顔の藤井聡太王座に挑んでいるのが、闘志を剥き出しにする永瀬拓矢九段です。
このタイトル戦は、一日で決着が見られるのが特徴的で、持ち時間は双方5時間ずつとなっています。
途中、昼食と夕食休憩を挟みますから、終わるのは大体8時過ぎといったところ。
あらゆるスポーツの中で、観戦に最も適しているのは野球だと思うんだけど、将棋はそれ以上に魅力的で、Abemaのおかげでわざわざ会場へ行かなくても、しっかり観ることができます。一日中、やっているのにですよ。
それは、序盤戦を飛ばして中盤以降からでも充分に流れについていけるのと、現役バリバリのプロ棋士が交替で詳しく解説してくれる。加えて、今どきはAIが最適解を打ち出してくれるので、ファンとしては予習と復習とをいっぺんに行なっている感じ。
そして、今日の対局では終盤の40手ほどが両者秒読みの一分将棋、つまりあり得ないような緊張感の中で、最高峰の闘いがタダで観られたのです。絶体絶命の藤井聡太が掘った落とし穴に、巧妙な罠を仕掛けてリードしていた永瀬拓矢がハマってました。
いやぁ、AIには理解できないような心理的なエッセンスも加えられており、将棋を知らない人はこの面白さが分からず、可哀想だなと思ったりしたのであります。