読んだ後に、ザワっとしたイヤな気分になるミステリーのジャンルは、あえて「イヤミス」と呼ばれています。
悪意や人間のドロドロした感情、救いのない結末が特徴の小説ジャンルということで、評価が分かれるところなんでしょうね。
ハッピーエンドから程遠く、後味の悪さは現実社会そのものであると肯定的に捉える人も多い。なるほど、喜怒哀楽のスイッチは、適当に混ざっていた方が良いと考えるのもアリだと思います。
『今日未明』(辻堂ゆめ著・徳間書店)は、架空の新聞記事を引き合いに、その裏にある人間模様を炙り出した短編集です。
なるほど、犯罪行為そのものは、どうしようもなく非難されるべきものですが、盗人にも三分の理という言葉があるように、同情の余地がないわけではない。その余地を拡げたのが辻堂ゆめだってことです。
最近、TVerのドラマでは、解説放送版というのが登場し、登場人物の一挙手一動はもとより、心理状態までを描くようになっておりますが、辻堂ゆめの文章作法はそれに似て、かなり細かく説明しています。そこのところ、染井為人や今野敏が会話体で内面を描いていくのとちょっと違う。いろんなやり方があるものです。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 18点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 20点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 19点
【読後感】爽快感・オススメ度 17点
【合計】92点