高校野球の選手が全体的に小粒になったのは、一人の投手が投げ切ることが少なくなったことが関係していると思います。
江川とか松坂のようなスーパースターがマウンドに立ち続けていると、攻略が難しい。だから、打者は待球戦術で多く投げさせて、早めに引きずり下ろすような作戦を徹底させます。
肩は消耗品だとする考えも浸透してきたこともあって、各チームはタイプが違う複数の投手を用意する。その結果、全体のスケールが小さくなっていったような気がするのです。修羅場をくぐる前に交替しますからね、経験値も上がりません。
雨で中止が続いて水を差されてしまい、今いちパッとしないなと思ってボンヤリ見ていた甲子園ですが、ビビッときたのが盛岡大附属というチームです。
岩手県には、花巻東に佐々木麟太郎という怪物がいて注目していたものの、県の決勝で敗れてしまいました。ガッカリ。彼はファーストですからね。試合を決めるのがピッチャーだと言うのは永遠の真理です。
この花巻東を決勝戦で倒したのが盛岡大附属で、監督の関口清治氏は知る人ぞ知るの名将でありました。
もともとは、基本に忠実な守備を重視した堅実な野球を志向しておりましたが、大谷翔平の出現によって、考え方を180度変えたそうです。
「大谷を倒さなければ甲子園に行けない」
1点を守り切る野球から、強打の野球への転換。それは、タイミングを早めに取って、振り幅の大きいラインバッティングを心がけること。そして、低めの球には手を出さない。徹底したウエイトトレーニングで身体を作り、ある程度出来上がってから具体的に打撃指導するという「モリフ(盛岡大附の略称)メソッド」を作り上げました。
かくして、今大会出場のレギュラー選手は、合計で通算280本のホームランをマークしています。
1番 松本龍哉 64本
2番 南早羽己 7本
3番 金子京介 56本
4番 小針遼梧 47本
5番 平内純兵 35本
6番 新井流星 39本
7番 佐々木一晃 7本
8番 渡邊翔真 20本
9番 田屋瑛人 5本
なんだなんだ、スゴいじゃないか。こんな打線は記憶にありません。漫画のドカベンみたい。
渡邊投手は、昨日の試合で8回途中までパーフェクトの二試合連続完封です。松本三塁手の軽快な守備は、目を見張るものがありました。
次の大阪桐蔭との三回戦(多分?)が事実上の決勝戦となりそうです。