今どきの雀荘の電動卓は、スゴいことになっていて、山積みどころか配牌もオートマチックで、ドラまでめくってくれます。もちろん、全員の点棒が常に表示されている優れモノ。この感じは、ウォシュレットの進化に似ています。便座の開け閉めはもとより、水を流すのが当たり前。この習慣がつき過ぎて、旧式のタイプで流し忘れるなんてトラブルもあるかもしれません。いや、便利なものとそうでないものが混在している場合、常識がぐちゃぐちゃになって思考停止するというのが、老人の悲しい性とも言えるでしょう。これはニセモノだと言っといてくれないと、判断がつきかねたりする。そういう感覚は、SFを読んだ時に戸惑いとなって表れます。
星新一の作品に対し、今ひとつ感情移入できないのは、設定があまりにもリアルなため、どこから妄想を始めて良いかがわからなくなるところにあります。当代一の人気作家なので、理解しようと努めてはみるんですが…
『未来いそっぷ』(新潮文庫)は、彼の代表作なので、『ボッコちゃん』に続いて読んではみたんですが、やっぱりねぇ。線香花火を続けているような軽い手応え過ぎて、波長が合わないんです。だらだら続いたかと思えば、急に終わったりする。時には、オチを自分で考えましょうみたいな国語の試験っぽいのもあったりして…。
ファンの人、ごめんなさい。どうやら私はSFというジャンルにアレルギーがあるようです。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 16点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 16点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 15点
【読後感】爽快感・オススメ度 15点
【合計】79点