週末にお笑い番組の決勝戦が二つありました。
一つはフジテレビが主催する『R1グランプリ』。優勝賞金500万円と他の賞レースと比べると格落ちの感じですが、ピン芸なので、取り分は一緒だということなんでしょう。それは局側の理屈。だけど、そのせいもあるのか、演出が演者任せになっていて、審査員も仲間を気遣いする人だらけで、尖ったところが全くなくなっておりました。決勝に残された三人は、どれもこれも地味な上に、2本目のネタがさらに弱く、小規模な田舎の夏祭りを見ているようでした。
ピン芸人は、社会からドロップアウトした人間が多い芸人の中でも、さらに変わり者が多く、マイナーであることは否めません。それって、家族がいない独り者に通じるものがあります。フッと冷める瞬間を拾ってくれる相方がいない寂しさ。多くのピン芸人には、やりっ放しで片付けられない幼児性が、どうしても残っているんです。
だから、部外者ともいえる漫才師やコント師の助けを借りて、なんとかイベントとして成立しているものの、審査する側もピン芸人だから、同情的で、お笑いの基準がストライクゾーンから外れたところにあって、そんなに面白くなくても着想や努力が評価されるようなところがあります。それが、盛り上がらない最大の理由でしょう。
人材難のフジテレビには、根本的にお笑いをプロデュースする能力が欠けているとも言えます。
それに対し、裏方人材の宝庫はテレビ東京です。佐久間宣行を輩出したこの局は、他局に比べてタブーが少なく、自由にやってる雰囲気が強い。
『にちようチャップリン』が番組内の緩い選考の中から、個性的な芸人12組を選び出し、優勝賞金200万円の独自の大会を開催しました。
ここで、出場者に要求したテーマは「面白さ」と「新規性」。従来の笑いとは違った新しさを出して、テレビで披露したことがない新ネタで勝負させるというのが審査基準です。
そして、それをジャッジするのは、当日会場に集められた観客200人。内村光良や千鳥・大悟らの先輩プロは、コメントこそ出すものの、審査には一切口出ししません。純粋に、笑いの量一本で、勝負が決まるという潔さ。
そういう中で、優勝したのは『マルセイユ』という結成13年の漫才師です。今まで、彼らをほとんど見たことがなく、M1でも準々決勝止まりのコンビですが、番組で披露したのがTikTokを思わせるようなテンポ感溢れる小ネタの積み重ねで、笑いの手数と量が圧倒的でした。
そのほかの芸人たちも、今までにない新しさを追求するのに真剣に向き合っており、結構な熱量を味わいました。
一人だけピン芸人として登場したZAZYにしても、R1の演者、誰よりも面白かった。
そういうのをフジのスタッフは、どう感じているんでしょう? いや、観てないような気がするなぁ。だから、なんだよなぁ。